深田久弥著 「日本百名山」より 幌尻岳は日高山脈の最高峰である。十勝と日高の国境を仕切って長々と延びたこの山脈から、もし一つの山を選ぶとしたらどれだろう、という疑問が、まだ地図でしか日高を知らぬ私の胸に久しく宿っていた。そしてこの地域の山々に詳しい人々が、異口同音に答えてくれたのが幌尻岳であった。日高で唯一の2千メートル峰であるのみならず、その山容からいっても、貫禄からいっても、日高の代表として十分の資格を持っている、ということであった。アイヌ語でポロは「大きい」、シリは「山」の意。その名もまた快いではないか。 |
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幌尻岳は4年前の7月にも今回の陽樹コースから登りに来たが、運が悪く低気圧の雨の中、幌尻林道(18.5km)を歩き、翌日幌尻岳に登るために、幌尻沢の渡渉地点まで行くが、唯一の渡渉地点が連日の大雨で増水のため渡れずに撤退!陽樹コースのハイキングに終わってしまったために、翌年から再挑戦を計画していたが、林道崩落やコロナ等で4年目の今年にやっと予約も取れ再挑戦することになった。 |
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8月16日早朝、新冠町の道の駅サラブレッド新冠を出る。約40㎞のダートな道を2時間30分もかけてイドンナップ山荘までやって来た。4年前にはこのイドンナップ山荘脇で車中泊をしたが、幽霊屋敷の様な山荘はトイレも不便で、今回は道の駅から走って来た。山荘の横には、日本百名山一筆書きの田中陽樹さんの記念モニュメントが設置されている。 | |||||||||||||||||||||||
イドンナップ山荘を7時20分出発。10分ほどで奥新冠発電所ゲートまで来る。二つある右側のゲートを潜り歩き出して行く。40分ほど歩くと「ポロシリ山荘まで15km」の標識がある。5kmごとの標識なので、その間が長くなかなか次の標識が現れない。 | |||||||||||||||||||||||
15km標識からは10分ほどで、いこい橋のゲートが現れた。大きなザックは狭いゲートを通すのが大変だ。 | |||||||||||||||||||||||
この日は、曇り空で長い林道歩きには、大変助かった。4年前には大雨の中歩き、撤退!と残念な結果だったが、今回は歩きやすかった。水場は、いこい橋から20分ほど歩くと一つ目の水場があり、その後も数か所の水場があるが、浄水器があると安心だ。 | |||||||||||||||||||||||
2時間半ほどで「10km標識」まで来た。この辺りには、1、2ヶ所、熊の落し物があった。かなり大きな物だった。 | |||||||||||||||||||||||
4時間半も林道を歩いてやっと見えて来ました。奥新冠ダムです。その先に「ポロシリ山荘まで2km」の標識があった。この辺りから少し登って行く。 | |||||||||||||||||||||||
12時50分ポロシリ山荘に到着。イドンナップ山荘から5時間30分もかかる。今夜と明日の2泊の宿です。先客が1名、その後は少しづつやって来て、今夜の宿泊者は13名でした。山荘の夜はシュラフに入るが夜中には寒くてダウンを着て寝るほど寒かった。 | |||||||||||||||||||||||
17日(火)4時40分、ヘッデンを点けてポロシリ山荘の脇にある登山口から出発する。10分ほど歩くと、ロープが張られた場所を高巻きするが、滑りやすく朝いちでは息が上がる。 | |||||||||||||||||||||||
60分ほどで、唯一の渡渉地点までやって来た。今回は小さな石まで見えるほど水量が少ない。前回は大きな石しか見えなかったので、安心して渡渉した。山荘を一緒に出て来た夫妻が後から渡渉する。 | |||||||||||||||||||||||
渡渉後は、すぐに笹藪の急登になる。笹を掴まないと登れないほどの急登だ。カミさんの頭が出ないほどの笹藪が延々と続く。 植林の杉林の九十九折と違い、地図を見ても真っすぐの急登が続くので標高は稼げるが、その分疲れる。 | |||||||||||||||||||||||
7時ごろには雲海を下に見える所まで登って来た。中間点(金属板には中間点と記載)まで登って来た。5時過ぎから登り出した4人グループが追い抜いて行く。ここまで3時間の7時40分頃通過した。 | |||||||||||||||||||||||
8時過ぎには水場まで登って来た。先行したグループも休んでいる。前日ポロシリ山荘で出会った網走の若者の話だと、ここの水場の水は岩場から染み出した水で浄水器で濾過しなくても大丈夫とのことで、皆さん美味しい水だとガブ飲みしていた。 | |||||||||||||||||||||||
水場からは、更に見上げるほどの急登となる。遠くに大岩が見えて来たが小さい。まだまだ先で遠い。 | |||||||||||||||||||||||
振り向くと奥新冠ダムから日高の山々が見える。お花畑まで来たが、お花を見る余裕がないほど足下を見ながら登る。(帰りには、この辺りに小さく可憐な花が咲いているのがよくわかった) | |||||||||||||||||||||||
お花畑から大岩までが遠く足が上がらない。今日は快晴で日高の山々が素晴らしい。 | |||||||||||||||||||||||
10時、大岩まで登って来た。ここまで来たらすぐ上に稜線が見えて来た。15分で振内と新冠コースとの稜線分岐まで登って来た。 | |||||||||||||||||||||||
目の前には、幌尻山荘・額平川コースへの稜線登山道が見える。こちら側のコースは現在コロナで閉鎖中のようだ。10時30分幌尻岳山頂に到着した。5時間50分かかる。 | |||||||||||||||||||||||
山頂には、ポロシリ山荘に泊まっていた登山者のみ7名が山頂を独占していました。私たちは、4年前のリベンジ(再挑戦)でやっと願いが叶った。夫婦で登る日本百名山91/100座です。 | |||||||||||||||||||||||
15時15分、10時間40分かかりポロシリ山荘まで帰って来た。皆さん幌尻岳登頂の話を肴に夕食の支度です。ちなみに、前回は小屋の中に水が引かれていたので、水道のように便利に使用していたが、今回は水が出ないので、小屋の脇の沢から水をくみ取り、煮沸や浄水器での水を使用した。 | |||||||||||||||||||||||
18日(水)5時40分、雨の中ポロシリ山荘を出発した。今回は、初日の林道歩きはくもり空で、暑くもなく5時間30分歩き、幌尻岳では快晴で微風、素晴らしい登山となり、最後の日だけ小雨だが、達成感で陽樹コース(18.5km)を快適?に歩き帰って来た。 | |||||||||||||||||||||||
奥新冠発電所ゲートを潜り、イドンナップ山荘に10時15分、4時間35分で戻って来た。ここから約40kmのダートな林道を日高の新冠町まで戻る。 | |||||||||||||||||||||||
13時、新冠温泉のレ・コードの湯まで帰って来た。前回の撤退時には、この日帰り温泉に入り、敗退疲れでそのまま泊まることにしたが、今回は高揚感のままのんびりゆったりと温泉に入る。 15時過ぎに、次の目的地(羅臼岳)に向けてレ・コードの湯を出る。夜になる前に帯広辺りの道の駅を探し車中泊する予定で出発した。 ちなみに、8月27日より、新冠からイドンナップ山荘までの林道は、緊急事態宣言で林道封鎖・通行止めとなってしまい、9月13日までポロシリ山荘も使用出来ず予約も受け付けてないようだ。今回は日程も私たちにはラッキーで良い登山になりました。 幌尻岳-羅臼岳-利尻山 |
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