深田久弥著 「日本百名山」より、 島崎藤村の『夜明け前』を読んだ人は、美濃の十曲峠を登って木曽路にかかる入口の馬籠を忘れないだろう。その馬籠から南に当たって、大きく恵那山がそびえる。幼少年時代の藤村があけくれ眺めた山である。当然『夜明け前』の中にこの山がしばしば出てくる。例えば恵那山を描写したこんな一節がある。 「遠く美濃の平野の方に落ちている大きな傾斜、北側に山の懐をひろげて見せているような高く深い谷、山腹にあたって俗に『鍋つる』の名称のある半円状を描いた地形、蕨平、霧ヶ原の高原などから、裾野つづきに重なり合った幾つかの丘の層まで、遠過ぎもせず近すぎもしない位置からこんなにおもしろく眺められる山麓は、ちょっと他の里にないものであった。 |
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夜明け前に出てくるように、大きくそびえる恵那山の姿や稜線をを見ながらの登山は、西側の木曽路方面にある神坂峠から登るのが、メーンのルートのようであるが、今回は、東側からの広河原登山口コースを登ることにした。そして、飯田山本ICを経て朝暗いうちに月川温泉郷から入って来たので、恵那山の姿も分からず、広河原登山口からは、針葉樹林の急登を登り、尾根路に出てからも南アルプスは見えるが、島崎藤村の言っている「大きくそびえる恵那山」はわからなかった。 | |||||||||||||||||||||
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昨日は焼岳に登り、中央高速の駒ヶ岳SAにて車中泊をして朝5時頃、未だ夜が明けぬ時間に駒ヶ岳SAを出発して、広河原登山口駐車場まで移動する。 明るくなったこの駐車場にてパンと紅茶で朝食を摂る。 |
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昨日はトイレが心配で駒ヶ岳SAで車中泊をしたが、ここのトイレは思っていたより新しくキレイに使用されていたが、「手洗い用のの水道がなかった」とカミさんは言っていたが、私は気がつかなかった。 | |||||||||||||||||||||
峰越林道を歩く。緩やかに登っているが、本谷川からは大分高い所を登っているようだ。 | |||||||||||||||||||||
25分かかりトンネルをくぐる。 | |||||||||||||||||||||
30分で恵那山の看板が出てきた。広河原登山口に来た。ここからは一旦下り沢を渡ることになる。 | |||||||||||||||||||||
木製の橋が架かっていたが、朝は橋が濡れていて恐る恐る渡っているので見ている方が怖い。 2003年にこの川が増水し、橋が流された所で、無理に渡ろうとした夫妻の夫は渡ったが、奥さんが流され死亡した事故が起こっているので、充分に注意をしたいものです。 |
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沢を渡るとすぐに岩がゴロゴロとした足場の悪い急勾配の登山道となり、しばらく続いていた。 | |||||||||||||||||||||
1/10指標が出てきた。とりあえず岩がゴロゴロした急勾配の登山道はこの辺りまでだった。 | |||||||||||||||||||||
その後は、緩やかな登りと急な登りとが交互に続く。 | |||||||||||||||||||||
目に付く木々は、すっかり落葉していたが、下を見ながら登って行くと、少し前まで紅葉していた名残が足下に落ちていた。 | |||||||||||||||||||||
3/10指標辺りからは、針葉樹林の中にある熊笹が背の高さまで覆い被さるようになって来た。 | |||||||||||||||||||||
4/10指標からは、ほぼ平らな道となり、緩やかな登りが続いていた。 | |||||||||||||||||||||
緩やかな登りの先にはダケカンバの林が出てきた。その先にはやっと尾根道らしき稜線が見えてくる。 | |||||||||||||||||||||
尾根道に出てくると、落葉広葉樹が色づいていた。しかし、紅葉もあと少しで終わりだよと言っているようであった。 | |||||||||||||||||||||
紅葉の北側には、木曽駒ヶ岳から空木岳の稜線が青空の下クッキリと映えていた。 | |||||||||||||||||||||
東には南アルプスが雲海の向こうに雄大な姿を映し出している。今回の広河原登山口からの登りでは展望が全く期待できないと思っていたが、少しでも見えたので満足しましょう。 | |||||||||||||||||||||
8/10を過ぎると、又、水平移動に近い緩やかな登りとなる。しかし、恵那山山頂下からの最後の登りはゴロゴロとした岩の間を登る事になる。 | |||||||||||||||||||||
10時20分到着。恵那山では、ツアーの団体一行がいなくなると、静かな山頂となる。広い山頂は一等三角点が中央に置かれ、展望台もあるがどこを見るのだろうか…。 | |||||||||||||||||||||
山頂にはイザナギ、イザナミの二神が祀られた恵那神社の奧宮が鎮座する。 深田久弥氏によると、「恵那山は胞(えな)山でイザナギ・イザナミの二神が天照大神をお生みになった時、その胞をこの山頂に治めたので、この山名が出来たといわれる」 ちなみに、私の持っているガイドブックでは「イザナギ・イザナミ」を「イザナギ・イナザミ」と書いてあったが、校正ミスか知らずに書いてしまったか。 |
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誰もいない山頂で昼食を取りのんびりするが、昨日の焼岳の大展望を味わうと、なにかわびしく味気ない。それでも50分ほど休み下山する事にした。 帰りは、飯田山本ICまで戻り、中央高速から横浜まで帰る事にした。 |
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焼岳−恵那山 |
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