深田久弥著 「日本百名山」より、 読者の皆様にお願いしたいのは、どうかこれを東岳とは呼ばず、悪沢岳という名で呼んでいただきたい。いったい東岳という平凡な名はいつ付けられたのであろう。おそらく荒川岳の東方にある一峰と見なしたに違いない。しかし、荒川岳の続きと見るにはあまりにこの山は立派すぎる。南アルプスでは屈指の存在である。 |
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8月には入り、いつでも行けるように南アルプスへの山行準備はしていたが、お盆休みの頃からは日本列島に低気圧の前線が張り出していて、山の上は雨が続いているようであった。そのうちに、槍ヶ岳の滝谷方面にて何人かの登山者が大雨になった沢を渡りきれずに亡くなる。という報道もあったので、なかなか山に登るチャンスが見つからなかったが、8月の18日(月)頃から南アルプスの天気予報も晴れマークが出てきだしたので、山行を決定した。 悪沢岳は、その昔、荒川三山の一つとして数えられていて荒川三山(前山・中岳)の東に位置する山として東岳と呼ばれていたらしい。少し古い南アルプスのガイドブックを見てみると、「椹島から荒川三山、赤石岳へのロングコース」として書かれていて、東岳(悪沢岳)と悪沢岳の名称は【】の記述のみであった。それが最近では、悪沢岳の名称が一般になったようで、今回の山行のために、色々な資料を見ても悪沢岳の記述が多くみられた。 |
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横浜を夜中に出発して、新東名の新静岡ICを降りて、27号線を一路畑薙ダムサイトに向かって行くが、3時頃から大雨となり、井川ダムの辺りでは先が見えないほどの豪雨となり出してきた。「山に登るのは無理かな」等話しながらもここまで来たので、畑薙ダム臨時駐車場まで行くことにした。 5時前から雨も小降りとなルと同時に、夜も明けてきて畑薙ダムが近くになってきた頃には、雨も止んでいた。 畑薙ダム夏期臨時駐車場は、びっくりするほど全国各地から多くの車が集まっていました。 |
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8時発の定時便の前、6時40分頃にバスが来て「大勢いますので7時頃満員になり次第、臨時便を出発します」と告げて、3000円のバス代を徴収される。 この3000円は山小屋での宿泊代金の前払い金となり、宿泊時に精算されます。ちなみに、帰りのバスに乗るときには、小屋での領収書が必要とのことでした。 |
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6時55分に28名(補助席を使い)を乗せ、ザックを膝に抱いて出発しました。 ダムサイトを走り、茶臼岳からの往復に使用する畑薙お大きな吊り橋を左に見ながら、未舗装のガタガタ道をのんびりと揺られて行きます。 途中、聖岳登山口では、5〜6名の登山者を降ろし、更に椹島ロッジまで走って行きます。 1時間かかり、8時に椹島ロッジに到着です。山の中の施設とは思えないほど設備がそろった大きな登山基地となっておりました。 |
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8時15分椹島ロッジを出発した後、滝見橋まで15分歩き、橋の手前の登山道入り口の看板を見ながら左に入って行く。 | |||||||||||||||||||||
登山道入り口を入ると目の前に、大きな滝が涼しそうな音を立てて流れ落ちていた。 | |||||||||||||||||||||
しばらく歩くと対岸に渡る吊り橋をがかかっていた。沢からの風が心地よい。 | |||||||||||||||||||||
吊り橋を渡るとすぐに岩だらけの急な登りとなって来た。歩き始めてすぐの急登となっていたので、息も上がり暑くもなって来た。更に沢から離れ樹林帯の中に入るため、風通しもなく蒸し暑い。 | |||||||||||||||||||||
滝見橋から約1時間で鉄塔の下、更に15分の9時45分に、岩頭見晴に到着した。ここからは悪沢岳であろうか、遠くに見えて来た。 | |||||||||||||||||||||
岩頭見晴あたりの足下が悪い道を注意深く歩きながら林道出合まで出てくる。ここで小休止を取る。 | |||||||||||||||||||||
先ほどの林道出合から30〜40mも歩くと、鉄の階段を登る。この先も急登が続いていました。 | |||||||||||||||||||||
小石下にくると、なだらかな登山道となる。この辺りは、20年ほど前に伐採して、広葉樹林に替えたようで同じ太さの広葉樹が日ざしを和らげていた。 | |||||||||||||||||||||
タマゴタケ |
タマゴタケ |
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ゆるやかな道から登りが続く、しばらく行くと目の前に多くの登山者の声がする。水場のある清水平に到着した。休憩したいが坂の途中にあるため休憩場所がないので、水を補給した後、そこそこに再出発する。 | |||||||||||||||||||||
さらにシラビソの多い樹林帯の道を登りワラビ段を過ぎる。 | |||||||||||||||||||||
富士見台に到着です。やっと展望が開けました。しかし、朝方のように山頂は見えません。ガスに覆われてしまいました。 13時を過ぎてやっと昼食休憩となりました。ベンチもあったので落ち着いてお昼としました。昼食後コーヒーを飲みのんびり展望を楽しんだ。 |
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富士見台にて展望を楽しんだ後は、樹林帯の中に入り更に登って行く。 この辺りには、苔に覆われた大きな切り株が沢山あったが、明治40〜43年にかけて切り倒した伐根で、その脇に生えている木が、その後自生し大きく成長した木のようだ。 |
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駒鳥池まで来ました。シラビソの原生林が続くこの辺りに来ると、北西に赤い屋根の千枚小屋が木々の間に見え隠れしてくる。 | |||||||||||||||||||||
駒鳥池辺りから左にトラバースしながら緩やかに登ると、お花畑が見えてくる。 千枚小屋に到着です。15時30分。7時間30分かかりました。 |
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県営千枚小屋は、最近出来たばかりのキレイな山小屋となっております。水も豊富にあり、トイレも男女で5つあって女性でも抵抗なく使用できるキレイな施設となっていました。 | |||||||||||||||||||||
小屋の周りにはお花畑が広がっていました。 マルバタケブキやホソバトリカブト・イブキトラノオ等が見事に咲いておりました。 |
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19日、翌日の早朝、夜明け前の富士山です。東の空が明るくなってきましたが、本日の山行が大変なので、ご来光がでてくる前の5時に千枚小屋を出発です。 | |||||||||||||||||||||
二軒小屋への分岐を左に登り、45分で千枚岳まで登って来ましたが、風が強い吹き飛ばされそうな強風になってきました。 丸山と悪沢岳が見えてきました。 |
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千枚岳から丸山へは強風の上にガスも出てきましたので、風に飛ばされないように下を向いて登っていると、雷鳥の親子がすぐ横に歩いているではありませんか、4羽の子供を守るかもように、親の雷鳥がこちらを警戒しています。 | |||||||||||||||||||||
丸山から悪沢岳までは、30mほどの強風が吹き荒れていました。この間にも可憐な花が咲いていましたが写真を取る余裕もありませんでした。 | |||||||||||||||||||||
悪沢岳山頂では、早朝5時前後に登り始めた登山者の多くが山頂に到着して、それぞれ記念写真や行動食をとって休憩していましたが、ガスのため展望はありません。 | |||||||||||||||||||||
南アルプス最高地点での最高の笑顔です。しかし、これからの厳しい行程が待っているとも知らずに…。 | |||||||||||||||||||||
赤石岳に続く | |||||||||||||||||||||
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